2010年 09月 27日
屈辱の日 |
日本が領有する沖縄県・尖閣諸島の沖合で海上保安庁巡視船と中国の漁船が衝突し、漁船の中国人船長を公務執行妨害の容疑で逮捕した件で、
中国政府が激しく反発し、レアアースの輸出停止などの対抗措置をとると発表した途端、民主党政府は簡単に屈服し、那覇地検は24日、逮捕した中国人船長を処分保留のまま釈放してしまいました。
去年の9月に民主党が政権を取ってから、いつか起こるのではないかと危惧していた最悪の事件が起こってしまいました。
去年の12月、子分を何百人も引き連れて中国を訪問して朝貢外交を展開し、チベットの虐殺者、コキントーに子分の一人ずつが握手してもらったといって喜んだ小沢一郎。
「日本列島は日本人だけのものではない」とか、日中間で懸案となっている東シナ海ガス田開発問題について、「東シナ海を『友愛の海』にしたい」などとピント外れのルーピーな発言を繰り返した鳩山前首相。
「沖縄はいっそ独立してしまえばよい」ととても日本国の首相とは思えない発言を行った管首相。
これらの民主党首脳の無責任かつ中国に阿諛追従した言葉の数々が民主党政権、与し易しというメッセージを中国に与えたことは間違いありません。
その結果、4月には沖縄近海を中国の艦隊が通過したり、日本の領海内の尖閣諸島沖合に多数の中国の漁船が出没するという事態になったのです。
日本の領海内で漁を行っていたこと自体、罪であるのに、中国の漁船は、海上保安庁の巡視船に体当たりしてきたそうで、逮捕は当然です。
中国の抗議に対して前原外務大臣は「日本の国内法に則って粛々と手続きを進める」といっていたのが、その舌の根も乾かぬうちにこの有様です。
これによって、日本はちょっと脅せば、いうとおりになる腰抜け国家であるという印象を中国だけでなく、世界中に与えてしまったのです。
中国の温家宝首相と日本の管首相と前原外相は同じ時期にNYの国連総会に出席していました。
温家宝首相が国連の演説で中国の立場を力説したのに対して、管首相は反論を行うべきところをダンマリを決め込み、
前原外相はクリントン国務長官と会談して尖閣諸島は日米安保の対象になるというアメリカ側の言質を引き出すだけで満足していました。
日本政府がまず表明すべきだったのは、日本の領海は日本自身が断固として守るという意思です。
日本には海上保安庁の巡視船もあるし、海上自衛隊の艦船も存在します。
尖閣諸島を守るには十分です。
まず自国の領海は自国で守るという意思を表明して、その後、なにかあったときには、同盟国であるアメリカに支援を要請するのが筋でしょう。
アメリカとしては、普天間基地の問題で散々、アメリカをコケにした民主党政権がちょっと中国に脅されただけで、アメリカを頼ってくるのは片腹痛かったのではないでしょうか。
これが親日の共和党政権だったらもっと日本に対して親身な態度を取ったかもしれませんが、生憎とアメリカの現政権は中国寄りで反日色の強い民主党政権なのです。
いずれにせよ、自国の領土、領海を自国で守ることのできない国は、主権国家とはいえません。
今から数十年前、20歳のとき、インドからパキスタン、アフガニスタン、イラン、トルコを通って陸路、ヨーロッパまで行ったことがあります。
この地域を旅行して驚いたのは、この地域の若者たちが日本人である私に示した特別、強い親愛の情でした。
私はヨーロッパ人のバックパッカーたちと一緒に旅行していたのですが、行く先々で、現地の若者は私を見つけると、私と一緒にいるヨーロッパ人を完全に無視して、私にだけ話しかけてきたものです。
その後、これらの地域が親日であるのは、日本が日露戦争に勝ったためだと聞きました。
歴史上、初めて有色人種の国が白人国家と戦って勝利したということで、当時の中東の人々は熱狂したといいます。
トルコでは東郷元帥や乃木将軍にちなんで、「トーゴー」や「ノギ」という名前を子供につける人間が現れ、エジプトの国民詩人、ハーフィズ・イブラヒムは日本の健闘を称えて「日本の乙女」という詩を発表します。
太平洋戦争についても、日本は負けはしたものの、世界一の軍事大国、アメリカ相手にタイマンで勝負を挑んで戦ったその勇気は、この地域の人々から賞賛されています。
この地域の人々は、今回、日本が情けなく中国に膝を屈したのをみて、日本に対して失望したでしょう。あの勇敢な日本人はどこにいってしまったのだろう、と不思議に思ったに違いありません。
日本と同様、南シナ海のスプラトリー諸島の領有を巡って中国と問題を抱えるフィリピンやベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国も、今回の日本の体たらくにはガッカリしたでしょう。
すでにして中国は、南シナ海でわが物顔に振る舞い、ベトナムの漁船などを拿捕しているのですが、今後は尖閣諸島のある東シナ海でも、好き勝手に振舞うようになるでしょう。
韓国や北朝鮮は日本の弱腰を軽蔑し、今後、竹島などの問題でますます強気に出てくるでしょう。
中国は今回のことで味をしめて、これから気に入らないことがあると、すぐに観光客を送らないとか、レアアースの輸出を停止するとか、脅しをかけてくるでしょう。
いったい、なぜこんなことになってしまったのでしょう?
直接的には去年の衆院選で民主党に投票したアホな有権者が悪いのですが、
根本的には、日本の政治家が国民に日本という国をどういう国にしたいのか、そのビジョンを提示しきれていないところに問題があると思います。
管首相は国連で「最小不幸社会」の実現を目指すと演説したそうですが、なぜ最小不幸ではなく、最大幸福ではいけないのでしょう。
「最小」「不幸」という陰気でビンボー臭い言葉を並べたネーミングのセンスの無さは、この政治家の魅力の無さに直結しています。
思えば、日本はプラザ合意のあった1985年頃に、これからの日本をどのような国にするのかというグランド・デザインを描くべきでした。
戦後、日本はモノを作って輸出するという貿易立国の道を選び、日本国民はがむしゃらに働いてきたのですが、
プラザ合意のあった1985年頃には経済大国になるという目標を達成していたわけで、その時点で次のステージに進む準備をするべきでした。
具体的には、経済力に見合った軍事力を備えることです。
そのためには、憲法を改正し、自衛隊を交戦能力のある普通の軍隊にし、核武装して、アメリカとの同盟を維持しながらも、軍事的な自立を図るようにすべきでした。
そして将来の中国の台頭に備えて、アセアン諸国と軍事同盟を結び、連携すべきでした。
実際、マレーシアのマハティール首相などは、1990年に日本をリーダーとする東アジア共同体構想を打ち上げて、日本が東アジアでリーダーシップを発揮することを期待したのですが、
日本はアメリカの顔色ばかり窺って、その期待に答えようとはしませんでした。
そして未来について考えることなく、バブル景気に浮かれ、バブルが弾けたあとは、長い不況に苦しむことになったのです。
現在、日本を覆っている閉塞感は、政治家が国民に対して日本をどのような国にしたいかというビジョンを提示せず、
かって貿易立国を目指したときのような政府と国民が共有する国家的な目標が存在しないことから来ていると思います。
そして将来に展望を持つことのできない国民は、子供手当てなどの疑似餌に釣られて、民主党という最低、最悪の政権を選んでしまったのです。
管首相は、今回の中国人船長の釈放は、沖縄の地検が決めたことだと述べて、責任逃れをしようとしていますが、
これだけの問題を沖縄の地検が一存で決められるわけないでしょうが!
脱官僚、政治主導を謳いながら、都合が悪くなったら官僚に責任を転嫁するなんて、本当に最低の男です。
今回の事件であらためて判ったのは、民主党政権は日本の国益に計り知れない損害をもたらす政権だということです。
国民は一刻も早く、この最低、最悪の民主党政権を倒し、生活のあらゆる面で「チャイナフリー」を徹底し、二度と中国に付け入らせないようにすべきです。
by jack4africa
| 2010-09-27 17:59
| 国際関係