2011年 06月 23日
タイ&ベトナム周遊(5) |
☆好きになったベトナム
ベトナムは今回が初めての旅行だったのですが、予想に反してベトナムもベトナム人も大好きになりました。
予想に反してというのは、事前にベトナムに関してあまり良い話を聞いていなかったからです。
治安が非常に悪く、観光客を狙ったひったくりが頻発しているとか、オートバイタクシーに乗ったら、変なところに連れ込まれ、ナイフを突きつけられて有り金ぜんぶ盗られたとか、
タクシーに乗って交差点で信号待ちしていたら、後ろの座席に2人組の強盗が乗り込んできて金を盗られた、運転手とグルだったらしいとか...
これらの犯罪は現在でも起こっているかもしれませんが、注意すれば防ぐことができます。
まずオートバイタクシーについては、一切、無視することです。
サイゴンでオートバイタクシーを利用しなければならない必然性はありません。
近距離の移動であれば歩けばよいし、中・長距離の移動であればタクシーを利用すればよいからです。
タクシーについてはガイドブックに記載されている信頼できるタクシー会社(ホテルのフロントでも教えてくれます)のタクシーを利用する限り、まず問題はありません。
これらの会社のタクシーは、ちゃんとメーターで走ってくれますし、メーターがどんどん上がるように細工している悪質な運転手もいません。
タクシー会社の名前はタクシーの車体に表示されているので、タクシーに乗る前に確認することができます。
ひったくりに対しては、私は今回のベトナムだけでなく、どこの国を旅行するときでも、
パスポートや現金などの貴重品はホテルのセーフティーボックスに預けて、外出するときは、その日1日に必要な金だけを財布に入れて出るようにしています。
たまに両替などで高額の紙幣を持ち歩く必要があるときは、それらの紙幣は財布には入れず、首から紐でぶら下げる貴重品入れに入れて出るようにしています。
今回のベトナムでもそういう風にしていましたが、それで十分という感じで、特別、ベトナムが治安が悪いという印象は受けませんでした。
ベトナムについては悪い点を特別、感じなかっただけでなく、よい点をいろいろと発見しました。
その第一は、ベトナムではチップの習慣が浸透していないことです。
タイでホテルにチェックインすると、部屋に案内してくれたボーイはチップを渡すまでぐずぐずして部屋から出て行こうとしませんが、ベトナムではさっさと出て行きます。
サイゴンの街中のレストランや食堂で食事をして、一銭もチップを置かずに出ても、従業員の女の子は出口のところでニッコリ笑って「また来てください」と送ってくれます。
タイでは考えられないことです!
チップの習慣が無いことではっきりするのは、ホテルの従業員やレストランの従業員など観光客が接することが多いサービス業界の人間が、
われわれ観光客に愛想を振りまくのは、心からのものか、それともチップ目当てであるかということです。
タイではチップを期待していたのに貰えなかったり、貰えても期待ほどの金額でなかったときは、それまで愛想よく笑っていた相手が、
途端に無愛想になったり、冷淡になったりして、鼻白む想いをさせられることが多いのですが、ベトナムではそのような不愉快な目に遭うことはありません。
買い物については、ベトナムでもタイと同様、市場で買い物をするときなどは、こちらが外国人とみるとふっかけてきますが、「高い!」と文句をいうと、わりと簡単に値下げしてきます。
そのへんは去年、行ったカンボジアに似ています。
全体として、ベトナム人は人間臭く、思っていることを正直に口にする性格で、話していて人種や国籍の壁を意識することはなく、同じ人間同士、腹を割って話ができるという印象を受けました。
何を考えているかよくわからないタイ人とは対照的です。
このようなベトナム人とタイ人の国民性の違いについて、産経新聞のサイゴン特派員として1975年のサイゴン陥落の瞬間に立ち会ったノンフィクション作家の故近藤紘一氏がその著書「バンコクの妻と娘」の中で語っているのを読んだことがあります。
近藤氏はサイゴン駐在中にベトナム女性と知り合って結婚し、サイゴン陥落後はそのベトナム人の奥さんと彼女の連れ子である娘さんを連れて日本に帰国しますが、しばらくして会社からバンコク支局勤務を命じられます。
それでベトナム人の奥さんと娘さんを連れてバンコクに赴任するのですが、タイではタイ人の友人が出来なくてそれが欲求不満になります。
サイゴンにいたときは、なんでも言い合える親友と呼べるようなベトナム人の友人が何人も出来たのに(その筆頭が奥さん)、タイでは中々友人が出来ないというのです。
タイ人の専用運転手は近藤氏のことをナイハン(旦那様)と呼んで、恭しく接してきますが、近藤氏にたいして心を開こうとしません。助手として仕事を手伝ってくれるタイ人の学生アルバイトも同様です。
タイはベトナムなんかとは較べものにならない階級社会ですから、運転手や仕事上の部下と友人関係になるのはむつかしいかもしれませんが、彼らよりも上の階級である中流以上の階級のタイ人の友人もできないのです。
その悩みをあるとき、バンコクで知り合いになったタイに30年住んでいるというアメリカ人の実業家に話したら、
「それは君だけではない。私もタイに30年住んでいるが、友人と呼べるようなタイ人の知り合いは一人もいない」
といわれたそうです。
続く
「2011 タイ&ベトナムの旅」
by jack4africa
| 2011-06-23 00:00