2011年 07月 03日
タイ&ベトナム周遊(8) |
☆Pホテル
サイゴンに4泊してからバンコクに移動。
ホテルはニューペプリ通りにある定宿のPホテル。
このホテル、特別、気に入っているわけではなく、不満も多々あるのですが、なぜかバンコクに来るとここに泊まってしまいます。
唯一の利点は予約せずに行ってもかならず部屋があることで、その点、面倒臭がり屋の私に向いています。
もう一つの利点として、セキュリティが割合としっかりしていて、部屋からモノが紛失するようなトラブルがないことがあったのですが、この利点も5年ほど前に起こったある事件によって失われてしまいました。
私は日本からバンコクのホテルに到着すると、日本から着てきたシャツをクリーニングに出して、タイから日本に帰るときにそのシャツをまた着ることにしています。
そのときもバンコクに着いた翌朝、ホテルの2階にあるラウンドリーのカウンターにシャツを持っていて、係りのオバハンに手渡しました。
ところが夕方、ホテルに戻ってきてラウンドリーのカウンターに寄って朝、出したシャツを受け取ろうとしたところ、係りのオバハンは帳面のようなものを見て「そんなシャツは受け取っていない」というのです。
そのオバハンは朝、シャツを手渡したのとは別のオバハンで、そのとき、カウンターにはもう一人眼鏡をかけたオバハンがいて、たしか今朝、シャツを渡したのは、このオバハンではなかったかと思い、
彼女に「今朝、あなたに渡した筈だが」というと、「覚えていない」と否定します。
そのうち「確かに渡した」、「受け取ってない」の水掛け論になり、埒が明かないので1階のフロントに行き、
フロントにいた女性に事情を話し、調べてくれるように頼んだのですが、彼女は最初から逃げ腰で、態度がはっきりしません。
タイ人というのは揉め事に係わり合いになることを極端に嫌うのです。
フロントの女性のノラリクラリした態度に業を煮やした私が「それならツーリストポリスに電話するぞ!」と脅すとようやく、
「ちょっと待ってくれ。実はこのホテルのマネージャーの奥さんは日本人だ。今これから彼女の自宅に電話するから、直接、彼女と話をしてくれ」
といいます。
それでその日本人のマダムと電話で話をしたのですが、開口一番、
「そのシャツはあなたにとってどれほどの重要性があるんでしょうか?」
と切り口上で訊いてきました。
たかがシャツ一枚、失くなったくらいでガタガタいうな、といった口振りです。
そのシャツはラコステの半袖シャツで、価格は1万円位、高くはないけどそう安くもないし、買ってから間もなく、それなりに愛着のあるシャツでした。
日本人のマダムにそのようなことをいったのですが、彼女はラウンドリー係りの女性はこのホテルに34年間も勤務していて、間違いを起こすような女性ではないと力説します。
「それでは私が嘘をついてるといわれるんですか?」
そういったらしばらく沈黙があって、フロントの女性と電話を代わってくれといいます。
日本人のマダムはフロントの女性にラウンドリー係りのオバハンを電話口に呼ぶように命じたらしく、しばらくするとオバハンが2階から降りてきたのですが、その格好を見てびっくりしました。
先ほどまでかけていた眼鏡を外し、後ろにひっめていた髪を解いてザンバラ頭にしているのです!
私に顔を覚えられていたことを知って、印象を変えようとしているのです。
オバハンは電話で日本人のマダムにたいして長々と無実を訴えていましたが、私はこの女がヤッたに違いないと確信しましたネ。
その後、再び日本人のマダムと電話で話したのですが、彼女は自分も夫と一緒に毎日、ホテルに出勤しているが、明日の朝はいつもより早めにホテルに行って自分が直接、調べるので、それまで待ってくれないかといいます。
それで翌朝、会うことを約束して電話を切ったのですが、電話を終えて夕食を取るためにレストランに行くと、レストランの入り口近くで、
先ほどのランドリー係りのオバハンが2階からシーツにくるんで持ってきたらしい洗濯物の山を床に拡げ、ホテルの従業員を集めて熱弁を振るっています。
「ほら、見てよ! 彼のシャツなんてどこにもないわよ!」
といっているようで、従業員たちはオバハンのいうことを信じているみたいで、私の方を厳しい視線で見ています。
シャツを盗られた上に、なんで悪者扱いされんとあかんのや!
頭にきましたが、オバハンとこれ以上、言い争いをしても無駄なので無視して通りすぎました。
翌朝、1階のレストランで朝食をとったあと、ロビーの方に歩いていくと私の名前を呼ぶ声が聞こえ、みると50代後半の厚化粧の女性が立っていて、それが日本人のマダムでした。
「シャツ、ありました! 今、お部屋の方に届けました」
彼女は開口一番、いいました。
「ええっ! あったんですか? どこにあったんですか?」
「彼女のところにありました…」
「彼女って、あのラウンドリー係りの女性ですか? じゃぁ、なぜ彼女は受け取ってないと嘘をついたんですか?」
マダムはそれに答えず、「彼女が悪いんです!」と憤慨したようにいいました。
そりゃ彼女が悪いのは確かだけど、あんた方、ホテルのマネジメントだって監督責任があるんじゃないの?
そう言いたかったけど、「彼女が悪いんです!」の一点張りで、マダムの方から謝罪の言葉はまったくありませんでした。
これが日本の旅館かホテルで、従業員が客の持ち物を盗んだことが発覚したら、旅館の女将やホテルの支配人は平身低頭して謝ると思うのですが、
華僑のダンナと結婚して、何十年もタイに住んでいるお蔭で相当、タイ(退)化しているらしく、そういう日本人の常識はまったく通用しない感じでした。
彼女のダンナらしい中国人のオッサンもちょっと離れたところにいて、われわれを見ていましたが、彼からも謝罪の言葉はなかったです。
それどころか、チェックアウトするとき、部屋代と一緒にシャツのクリーニング代20バーツもしっかり請求されました。
それにしてもラウンドリーのオバハンはなぜ私のシャツを隠していたのでしょうか?
はっきりはわからないのですが、おそらく彼女はホテルの客からクリーニングの衣類を受け取ったときにそれをノートに記載せず、
自分の家に持ち帰って自分で洗って、客から受け取ったクリーニング代はそのまま自分のポケットに入れていたんじゃないかと思います。
そして洗ってアイロンをかけたシャツは直接、私の部屋に届けるつもりだったのではないかと思います。
それがうまく行かなかったのは、その日、Pホテルを含めたバンコクのかなり広い区域で数時間、停電が起こったことと関係があるような気がします。
詳しくはわかりませんが、停電で彼女の計画が狂って、シャツが間に合わなかったんじゃないかという気がするのです。
このオバハンはその後、ホテルをクビになったみたいですが、たった20バーツ(60円)をちょろまかすために様々な小細工をし、すぐにバレるような嘘をつき、
自分はヤッていないとホテル中を巻き込んで大騒ぎしたこの女に同情する気にはまったくなれず、馬鹿で幼稚なくせにがめつくて小狡い下層階級のタイ人特有の下品で卑しい振る舞いにうんざりさせられたのでした。
続く
「2011 タイ&ベトナムの旅」
by jack4africa
| 2011-07-03 00:00