2014年 02月 04日
ペナンの誘惑 |
マレーシア旅行の紀行文を書いていたら、今から20年ほど前にマレーシアのペナンに行ったとき、現地のマレー人にナンパされたことを思い出しました。
ペナンのジョージタウンのコムタという円筒形のビルのショッピングセンターをうろついていたとき、若いマレー人の男に声をかけられたのです。
「いや~~お久しぶり!」
といった感じで馴れ馴れしく話しかけてきたので、一瞬、彼とは以前、どこかで出会ったことがあって、自分が思い出せないだけなのかもしれないと思ったのですが、
よくよく話してみると、やっぱりそのときが初対面でした。
彼はかなりオネエが入っていたので、多分、ナンパ目的で近づいてきたのだろうと推測がつきました。
つまり、彼は私をお仲間と見抜いて近寄ってきたということです。
彼は年の頃、27,8歳で、日本の某家電メーカーのマレーシア工場で働いていると自己紹介し、日本人のことが大好きだといいました。
そしてこれから自分の家に来ないかといいます。家に行ったら彼のお母さんがご馳走してくれるというのです。
しかし私は会ったばかりの人間の家に行くのは気が進みませんでした。
彼が悪い人間ではないことはみてとれたけど、彼が私と寝たがっていることがわかっていたので、ちょっと躊躇したのです。
彼はルックスはそれほど悪くなかったけれど、オネエが入っていることが気に入りませんでした。
私は自分がオネエなので、オネエの相手はしたくないのです。
それに彼とそういう関係になるなら、余計に彼のお母さんと会う気にはなれませんでした。
以前、パタヤで知り合った男の子の実家にいって、彼の母親にうさん臭そうな目で見られて不愉快な思いをしたことがトラウマとなって残っていたのです。
そのときは午前11時頃でしたが、私は彼にこれからちょっと用事があるので、今すぐあなたの家に行けないけれど、もしよければ、午後3時頃から暇になるので、そのときにまた会わないか?と提案しました。
自分一人で昼食をとってから彼と会えば、少なくとも、彼のお母さんの「ご馳走」は食べなくて済むと思ったのです。
彼は私の提案に難色を示し、どうしても今からすぐに彼の家に私を連れて行きたいといい張ります。
しかし、私が断り続けると渋々諦めて、そのとき私が泊まっていたE&Oホテルまで彼のバイクの後ろに乗せて送ってくれました。
ホテルの私の部屋は道路に面していて、窓から外を見ると、彼が道路にオートバイを停めて立っているのがみえました。
これから私が出てくるまでずっと待つつもりでいるみたいなのです。
そのときはまだ11時半頃で、私が指定した午後の3時までまだ3時間半もあります。
いくらなんでもそんな長時間、彼を待たせるわけにいかないので、結局、私が折れて、そのまま彼の家に行くことにしました。
彼はペナンの中心からちょっと外れた住宅地の小奇麗なタウンハウスに母親と一緒に住んでいました。
家に着くと、彼のお母さんは早速、私のために食事を作ってくれて、食事が出来上がると隣りに住むという彼の叔父さんも加わってテーブルを囲みました。
話を聞いていると、彼は父親がいず、母一人子一人の母子家庭で、隣りに住む叔父さんがこの母子の面倒を見ていて、この小奇麗な家も叔父さんが自分の家を買うときに一緒に買ってくれたとのことでした。
叔父さんは私にマレーシアの観光地で行くべきところを奨めてくれたりして一応、和気藹々と食事は進みました。
食事のあと、彼は2階にある彼の寝室に案内してくれました。
15畳くらいある広い部屋で、真ん中にキングサイズのベッドがド~ンと置いてあって、日本の電気メーカーで働いているせいか、壁際にはAV機器が一通り並べて置いてありました。
この部屋で彼とヤルことになるのかな、と思っていたら、話は思わぬ方向に展開していきました。
彼の部屋に彼のイトコと称する若い男が入ってきて、私の顔をちらちら見ながら、しばらく2人で話していたと思ったら、そのイトコが私のところにやって来て、
「これからボクがあなたと一緒にホテルに行く」
と言い出したのです。
私はわけがわからなくて、オネエの彼のところに行って、
「君のイトコが私とホテルに行きたがってるけど、君はそれでもかまわないの?」
と訊きました。
彼がしつこく家に来るように誘ったのは、私と寝るのが目的だった筈です。
しかし彼は寂しそうな顔をして、
「彼と行ってくれ」
と言うのです。
なんか彼はイトコに頭が上がらないようで、イトコが彼の代わりに私とヤルといったら拒否できないみたいでした。
イトコはオネエっぽい彼と違って男っぽいタイプのイケメンで、引き締まったセクシーな身体つきをしています。
それで私も彼と寝ることに異存はなかったのですが、なんかオネエの彼に対して申し訳ない気持ちでした。
私はイトコにせかされてその家を出て、今度はイトコのオートバイの後ろに跨ってホテルまで戻りました。
ホテルに戻って部屋に入ると、彼は着ているものを脱いで裸になりました。
筋肉質のきれいな身体をしていました。
突然、
「あなたはマニラに行ったことがあるか?」
と聞いてきたので、行ったことがあると答えると、以前、マニラのゲイバーのCLUB 690 でゴーゴーボーイをしていたことがあるといいます。
本当?!
びっくりして訊き直しましたが、本当だといいます。
実際、これだけセクシーな身体つきをしていたら、690でゴーゴーボーイとして十分に働けるだろうと思いました。
そのあと、ベッドで一戦、交えたのですが、帰りしなに金を要求してきたので驚きました。
私は男の子とセックスして金を払うことに抵抗はないのですが、彼がお金のことを事前にいわずに事後に言い出したことが気に入りませんでした。
話の流れからいって、彼とのセックスは金の絡まない性質のものだと信じていたからです。
最初に会ったオネエの入った若者は、金銭の代償なしに、純粋に私と寝たがっているように見えました。
しかし、そのイトコである彼は、私が日本人であることをオネエの彼から聞き、日本人なら金になると思い、それで私を自分に譲るようにいったのかもしれません。
いずれにせよ、金が欲しいのであれば、事前にちゃんとそのことをいうべきです。
690で働いていたのなら、そのへんのルールはわかっている筈です。
私はそういって金を払うことを拒否しましたが、それでも彼はしつこく粘り、E&Oに泊まってるんなら、金は出せるだろ、などといいます。
E&Oはペナンの老舗ホテルで、宿泊料金はそこそこするだろうから、それを払えるなら、自分にも払える筈だといいたいのかもしれませんが、それとこれとは違うでしょ、といいたかった。
結局、私が頑として金を払うことを断ったために、彼は何も受け取らずに不機嫌な顔をして部屋を出て行きました。
彼が出ていってからしばらくして、ふと窓の外に目をやると、彼がホテルの横の道路にオートバイを停めて立っている姿がみえました。
私がホテルから出てくるのを待って、また金を要求するつもりだったようですが、最初の彼が私を家に連れて行きたいといって、約束よりずっと早い時間から道路で私を待っていたことを思い出しました。
最初の彼は「お母さんのご馳走」を私にゴリ押しし、2番目の彼は「売春」を私に押し売りしたわけで、私の意向を無視して、自分勝手な欲求を押し付けてきたところは共通しています。
そもそも私と寝るのに、本人である私の意見を聞かずに、自分たち2人だけで、どっちが私と寝るかを決めてしまったことも理解できません。
2人の内のどちらかを選べといわれたら、私も2番目の彼を選んでいたでしょうが、金を払わなければならないとわかっていたら、その申し出を断っていた筈です。
道路にオートバイを停めていた彼はしばらくすると諦めたのか、姿を消していましたが、イトコ同士の2人の若者に翻弄されたペナンの休日でした。
「世界OTOKO紀行」
by jack4africa
| 2014-02-04 00:01