2014年 09月 05日
ペルー&イースター島周遊(10) |
☆イースター島到着
サンチャゴから6時間のフライトで、イースター島のマタベリ空港に到着しました。
イースター島はチリ領ですが、サンチャゴから3700キロも離れた南太平洋の孤島で、チリ本土とは2時間の時差があります。
日本を出発してから1週間、殆ど毎日のように移動が続き、クスコやプーノでは空気の薄さに悩まされ、フリアカから24時間かけてイースター島まで辿りついたときには疲労はピークに達していました。
サンチャゴ空港やラン航空機内で受けた人種差別的扱いで精神的なストレスも溜まっていて、心身ともに限界に達していたのですが、
飛行機から降りて、南の島に特有のリラックスした空気に包まれるとそれまでの緊張がみるみるほぐれ、開放的な気分になるのがわかりました。
空港の小さな建物を出ると、予約していたペンションのオーナーが迎えに来ていて、手にもっていたレイを私の首にかけてくれました。
オーナーの運転する車で、空港からそう遠くないイースター島の唯一の村、ハンガロア村の北の端にあるペンションに向かったのですが、
島の素朴な景色を眺めているうちに、「この島はなにもしないで過ごすためにあるのではないか」という気がしてきました。
私は昔から南の島でのんびりと暮らしたいという夢があって、この島こそそれにうってつけのところではないかと思ったのです。
バンガロー風のペンションに着いて案内された部屋は非常に簡素でしたが、その簡素さがかえって私が理想とする南の島での生活にふさわしいように思えて、むしろ気に入りました。
イースター島には5泊する予定だったのですが、このペンションでずっとゴロゴロしていたいと思いました。
しかしイースター島に来て、有名なモアイ像を見ないで済ますわけにはいきません。
島内各所に散在するモアイ像を見てまわる方法は大きくわけて2つあります。
現地の旅行会社が主催するツアーに参加するか、または個人で見てまわるかのいずれかです。
個人で見てまわる場合は、レンタカーを借りるか、レンタサイクルを借りるか、または徒歩でまわることになります。
私の場合、車の運転は苦手だし、自転車や徒歩でまわる体力もないし、ツアーに参加するしか選択肢がありません。
「地球の歩き方」によると、ツアーには島の南西部のオロンゴの火口湖や鳥人儀式が行われた跡をめぐるオロンゴ半日ツアー、
島の中央部のモアイ像を見てまわるアキビ半日ツアー、日本企業の支援で立て直されたトンガリキのモアイ像やモアイ像を造る石を採掘したラノララクの石切り場、アケナケ・ビーチ等を回る1日ツアーの3つがあって、
この3つのツアーに参加すると、島の見所を大体、見てまわることができるといいます。
ツアー料金は半日ツアーが30ドル、1日ツアーが40ドルで、3つのツアーぜんぶに参加すると合計で100ドルかかることになります。
部屋に案内してくれたオーナーの奥さんが私をロビーに呼んでイースター島の地図を見せながら、前記の島の見所を説明してくれましたが、ツアーを勧めたがっているのがわかったので、
「私の持っているガイドブックでは3つの主なツアーに参加するのに全部で100ドルかかると書いてあるけど、あなたの勧めるツアーの料金はいくらになるか?」
と訊いたら、「それは旅行会社に訊いてみないとわからない」と口ごもりました。
彼女は自分のコミッションを上乗せしたもっと高い金額を提示するつもりだったようで、私が先手を打って相場の価格をいったので、その金額を口にできなかったみたいです。
それで自分で直接、ツアー会社に行って料金について訊きたいというと、地図の上に彼女の勧めるアクアク・ツアーというツアー会社ともうひとつ別のツアー会社の場所の印をつけてくれました。
その地図を持ってゲストハウスからそう遠くないところにあるアクアク・ツアーのオフィスに行ったのですが、オフィスの前の道路にツアーに使うらしいマイクロバスが停まっているものの、事務所は閉まっていました。
その事務所のある通りは村のメインストリートで港まで続いているのですが、港の方に歩いて行くと観光客相手の土産物店やレストラン(食堂という方がふさわしい外観ですが)が何軒かありました。
一軒の土産物店に入ってみると、小型の木彫りのモアイ像やもう少し大きい石で作ったモアイ像が置いてあるだけで、
ほかには世界のどこのビーチリゾートでも売っているようなパレオやTシャツなどが置いてあるだけのフリマのショップみたいな素人くさい店でした。
食堂も日曜大工で建てたようなバラックに、これまた日曜大工で作ったような椅子やテーブルが置いてある簡素なところばかりでしたが、
店先のメニューに書かれてある料理の値段は高く、最低でも11000チリペソ(20ドル)はしました。
さらに歩いていって港の近くでツアーの看板を掲げている旅行会社をもう1軒、見つけたのですが、ここも閉まっていました。
いったい、このヤル気の無さは何なんでしょう?
ペルーのクスコに着いたときなんか、空港には旅行会社のブースがいっぱいあって会う人間、会う人間がツアーを勧めてきたのに、
ここの空港ではツアーを勧める人間なんて誰ひとり寄って来なかったし、村のツアー会社の事務所は日曜日でもないのにぜんぶ閉まっているのです。
港も閑散としていて人気がなく、鄙びた漁村を通り越して寂れた漁村という感じで、本当にここがあの有名なイースター島なのだろうかと疑問に思いました。
そのとき、私の頭に恐ろしい考えが浮かびました。
もしかして自分は間違ってイースター島ではなく、どこか別のところに来てしまったのではないか!
ふと前方を見ると、港に面して立っているモアイ像が目に入りましたが、そのモアイ像はいかにもちゃちで偽物っぽく、それを見て疑念は晴れるどころか、逆に深まったのでした。
続く
「2014 ペルー&イースター島の旅」
by jack4africa
| 2014-09-05 00:01