2014年 10月 21日
アメリカの衰退(1) |
早いもので、今年の10月23日は、コラムニストの故山本夏彦さんの13回忌です。
山本夏彦さんといえば、短く巧みな表現で物事の本質をズバリ言い当てる警句や寸鉄、名文句の数々で有名でした。
たとえば、彼の名言に、
「海外旅行をしても、ロバはサラブレッドにはなれない」
という言葉があります。
この警句を書いた横断幕を成田や関空の玄関口に掲げたら面白いと思うのですが、無理でしょうね(笑)
実際、私自身、海外旅行が大好きで、若い頃からあちこち旅行していますが、ずっとロバのままです(――)
もうひとつ山本さんの名言で私が覚えているのは、この言葉です。
「アメリカが駄目になったのは、黒人に選挙権を与えたからである」
これも凄いですね(笑)
アメリカ人であれば、腹の中で思っていても、絶対、口に出せない言葉です。
アメリカでは1865年の奴隷制廃止以後も、様々な法律によって黒人差別や黒人隔離が合法化され、黒人は事実上、選挙権を行使できない状態に置かれていました。
その結果、50年代に差別の撤廃を訴える公民権運動が起こり、1964年に公民権法が制定され、黒人はやっと選挙に参加できるようになります。
山本さんは、「公民権」という言葉はわかりにくい、「参政権」あるいは「選挙権」と訳すべきだといっていましたが、
黒人に選挙権を与えたら、なぜアメリカは駄目になるのでしょう?
アメリカというシステムは、黒人を差別することで機能しているから、黒人差別をやめてしまえば、システムが立ち行かなくなるという意味だと思います。
アメリカという国は、アメリカ大陸に最初に入植したWASP(アングロサクソン系のプロテスタントの白人)と呼ばれる集団によって建国され、
建国以来、国の実権はつねにWASPが握り、WASPの理念に基づいて運営されてきました。
家族の形態と遺産相続の方法に基づいて世界の文化を7つの家族型に分類しているフランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッドによると、イギリスやアメリカなどのアングロサクソン民族は、
子供が成人に達したら親元を離れて独立した世帯を持つ核家族で、遺産は遺言によって特定の子供に残され、兄弟姉妹が均等に相続することがない、
トッドが「絶対核家族」という呼ぶ家族型になります。(「多文化主義か同化か、欧米の移民問題」を参照)。
このような家族型を持つ文化の下に育った人間は、親子、兄弟の縁が薄いので、自由・独立の精神が涵養されるものの、兄弟間の相続が均等でないことから、人間の平等には無関心で、逆に人間の差異に敏感になるといいます。
つまり、アメリカという国家を運営してきたWASPはアングロサクソンに固有の「絶対核家族」の家族型を持つことから、
自由・独立の理念はあっても、平等という理念はなく、その結果、人種差別、特に黒人を差別するようになったというのです。
そのような国で、黒人差別を止め、黒人を白人と平等に扱うようになったら、どうなるか。
現在の世界では、人種間の平等は誰にも否定できない正しい理念とされ、それに反対すれば、レイシストのレッテルを貼られて攻撃されることになります。
アメリカで公民権運動が起こり、黒人差別を否定する公民権法が制定されたのもこのような時代の趨勢と無関係ではないのですが、
それでアメリカの白人が黒人その他のマイノリティーを差別するのをやめたかというと、そんなことはありません。
丸腰の黒人少年を白人警官が射殺する事件が頻発しているのをみればわかるように相変わらず白人は黒人を差別しています。
ただ昔のようにおおっぴらに差別できなくなっただけです。
おおっぴらに差別できなくなった結果、アメリカでは、口では差別反対を唱えながら、現実の行動では黒人を差別するという偽善的な人間が増えました。
それがリベラルと呼ばれる白人たちです。
彼らは口では黒人差別には反対だといいながら、自分たちが住む地域に黒人が住み着くようになるとすぐに白人しか住んでいない住宅地に引っ越し、
公立学校には黒人の生徒が多いという理由で、自分の子供は無理しても私立学校に通わせるのです。
黒人運動の過激派リーダーだったマルコムXは、アメリカの保守派よりもむしろこのような黒人差別に反対するリベラルな白人を毛嫌いしていたそうですが、リベラルを自称する白人の本質をよく見抜いていたのでしょう。
最近のアメリカ人はますますリベラルになってきているように思えます。つまり、偽善の度合いが増してきているのです。
先日、あるアメリカ政府の高官が来日して、
「アメリカ人はかっては奴隷制度をもっていたが、それが悪いことだと知って廃止した。日本人もかっての日本軍の性奴隷の存在を認めて謝罪すべきだ」
と語ったそうです。
アメリカ人は昔、自分たちが奴隷を所有していたことを認めたくないのでしょうが、奴隷を所有していたのは厳然たる歴史的事実だから、いくら厚顔なアメリカ人でもそれを否定することはできません。
それで中韓が日本を貶めるためにただの売春婦にすぎなかった戦時中の朝鮮人慰安婦を「性奴隷」と呼びはじめたら、それに飛びついて日本人も奴隷を所有していたことにして、
自分たちは奴隷制度を所有していたが、それを反省して廃止した、と道徳的に一段、高いところに立って日本人に説教しているのです。
よくまあ、こんな無茶苦茶な牽強付会ができるなあと思いますが、アメリカ人というのは平気でこういうことを口にする人種なのです。
アメリカ政府は自国の「性奴隷」に対して公式に謝罪し、補償したのかと訊きたくなります。
以前、Youtubeで黒人演歌歌手のジェロがアメリカのCNNかどこかのテレビ局の女性記者にインタビューを受けているビデオをみたことがありますが、そのアジア系の女性記者がいかにも同情にたえないという表情で、
「日本は黒人に対する差別が激しいから大変でしょうね」
とのたまったのには驚きました。
アメリカ人は自分たちが黒人を差別しているものだから、自分たちよりも民度が低い(と彼らが考える)日本人はもっと黒人を差別しているに違いないと思い込んでいるのです。
そして、こういう質問をわざわざ差別される側のアジア系の女性記者にさせて、あたかもアメリカには人種差別など存在しないかのようによそおうところがアメリカ人のイヤラシイところです。
このとき、ジェロがなんと答えたかは覚えていませんが、少なくとも日本では丸腰の黒人が警官に射殺されるような事件は起こっていません。
私がリベラルで偽善的な白人アメリカ人の代表として真っ先に思い浮かべるのは、現駐日アメリカ大使のキャロライン・ケネディです。
彼女が駐日大使に任命されたとき、テキサス親父が彼女のことをくそみそに貶していましたが、大使になってからの彼女の言動をみて成るほどと納得しました。
彼女が駐日大使に任命されたのは、大統領選挙でオバマを応援した功労賞だといわれていますが、ケネディ大統領の娘ということで知名度はあるものの、元々プロの外交官でもなんでもないただのシロウトで、
駐日大使にもお飾りとして任命されただけで、お飾りとしておとなしくしていればいいものをなにをとち狂ったか、この女、大使になった途端、日本人に説教しはじめるんですよね。
米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています。
これが2014年1月18日に彼女がツィッターで呟いた言葉です。
彼女はイルカ漁を非人道的であると非難していますが、太平洋戦争でアメリカが広島と長崎に原爆を落とし、
東京、大阪等の日本中の都会を空襲して、女や子供を含む非戦闘員を50万人も虐殺した行為は非人道的ではないのでしょうか。
有色人種で非キリスト教徒の日本人はいくら殺してもかまわないけれど、和歌山県の漁師が生活のためにイルカを殺すのは許されないというのでしょうか。
まあ、白人のホンネなんてそんなものでしょう。
そもそもケネディ一族自体、口では立派なことをいっていても、私生活はスキャンダルまみれの偽善的な一族で、
キャロラインの母親のジャクリーンがギリシャの海運王、オナシスと再婚したのも、そんなケネディ一族の偽善的なところに嫌気が差したためだといわれています。
そんな偽善的な一族を代表するキャロライン・ケネディが応援したバラク・オバマが2008年の大統領選挙で勝利し、アメリカ初の黒人大統領が誕生するのですが、
山本夏彦さんが生きていたら、なんといったか、その感想を訊いてみたかったです。
続く
本日のつぶやき
アホなミスして悔しそうな表情を浮かべる川島の顔はいい加減、見飽きた。
もうA代表を引退させるべきときがきていると思う。
西川だけでは頼りないというのであれば、川口や楢橋を呼び戻したらいいでしょう。少なくとも、川島よりは使える筈。
つぶやき2
橋下徹vs在特会・桜井誠 【全】10/20
https://www.youtube.com/watch?v=ACRxHAC-tyg
「飛田新地に帰れ~!!」
これは、ヘイトスピーチでしょうか?(笑)
つぶやき3
桜井会長、マスコミに吠える!
https://www.youtube.com/watch?v=h6mLFir38f0
今の日本で彼と議論して勝つ人間はいないんじゃないでしょうか。
あの口から先に生まれたような橋下が議論せずに逃げたんだから。
つぶやき4
病身舞
https://www.youtube.com/watch?v=4Goabqq93yI
本当に気色の悪い踊りだねえ
by jack4africa
| 2014-10-21 00:01
| 国際関係