2014年 11月 18日
私はホモだが、ゲイではない-同性婚に反対するフランスの同性愛者 |
去る10月5日、フランスの首都パリと南西部の都市ボルドーで「伝統的な家族観」を支持し、同性カップルの生殖補助医療や代理出産に反対するデモが行われ、数万人が参加したそうです。
このデモを主宰したのは、フランスにおける同性婚合法化に反対して結成された草の根運動組織であるManif pour Tous(Demonstration for all)という団体で、
昨年一月には首都パリで80万人ものデモ参加者を動員して同性婚反対デモを行って話題になりました。
彼らの反対にも関わらず、フランスでは、昨年5月18日に同性婚と同性カップルの養子縁組が合法化されたのですが、
今回、またデモを行ったのは、フランスにはまだ同性婚に反対する国民が少なからず存在することをあらためてアピールするためと、
このまま放置しておくと、社会党政権が現在はまだ同性カップルには認められていない人工授精や代理母による出産までも認めてしまうのではないかという危機感を抱いたからではないかと想像されます。
念のためにいっておきますが、このManif pour Tousという団体は同性愛それ自体に反対しているわけではありません。
カトリック教徒の多いフランスといえども、今どき同性愛それ自体に反対する人間はごく少数で、大多数のフランス国民は同性愛を個人のプライバシーの問題であるとみなして反対はしていません。
しかし、同性のカップルが男女のカップルと同じように結婚し、養子縁組によって子育てすることまで認めるには抵抗があるというフランス人が少なからず存在するということらしいです。
昨年のフランス議会での同性婚および同性カップルによる養子縁組法案の可決直後に実施されたアンケート調査によると、
フランス国民の53%は同性婚の合法化に賛成しているものの、同性カップルの養子縁組については56%が反対しているそうです。
このManif pour Tousという団体を主宰しているのは、フリジット・バルジョー(ブリジット・バルドーをもじったらしい)というフランスのテレビのコント作家をしている50代の女性だそうですが、
この団体のスポークスマンを務めているのは、ジャン=ピエール・デローム=ミヤールという同性愛者の男性です。
つまり、フランスで同性婚や同性カップルの養子縁組に反対しているのは、保守的なカトリック教徒とは限らない、同性愛者でも反対している人間がいるということらしいです。
このジャン=ピエール・デローム=ミヤールという人物の本職はテレビのドキュメンタリー作家だそうですが、『同性婚推進運動に反対する同性愛者』(Homosexuel contre le mariage pour tous)というタイトルの本を出していて、
昨年のフランス議会での同性婚法案の採択前には、Manif pour Tousの主催者であるフリジット・バルジョーと共にエリゼ―宮でオランド大統領と面会して反対意見を表明したそうです。
彼は、2012年11月にObsというNouvel Observateur誌のニュースサイトに寄稿した「私はホモだがゲイではない」(Je suis homosexuel, pas gay)という記事で同性婚や同性カップルの養子縁組に反対する理由を述べています。
以下がその要約です。
まず第一に言いたいが、私はホモセクシュアルだが、ゲイではない。
私はホモであることを別に誇りに思っていないし、自分のセクシュアリティーを主張しなければならない、いかなる理由も思いつかない。
もちろん、ゲイパレードに参加して半裸でフロートに乗って腰を振りたいとも思わない。
私はゲイコミュニティーの中で生活していないし、ゲイコミュニティーのために生きているわけでもない。
ゲイたちはゲイ独自のカルチャーやライフスタイルを提唱し、ゲイコミュニティーに住んでゲイの肉屋、ゲイのパン屋、ゲイの新聞スタンドを利用したがっているが、
私はこれまでパリでも地方でも自分の住居を選ぶにあたって、隣りに住む住人の性的指向を気にしたことなど一度もない。
私はこれまで約40本のテレビ用ドキュメンタリーを制作し、内、何本かは国内外の賞を受けているが、ゲイコミュニティーのためにドキュメンタリーを制作したことは一度もない。
私の仕事と私が同性愛者であるという事実はまったく無関係だからだ。
私は自分の頭脳を使って仕事をしているのであって、性器を使って仕事をしているわけではない。
現在、同性婚法案が政治的な議題に上っているが、多くの同性愛者は結婚したいなどとはまったく考えていない。
同性婚を支持しているのはマレ地区(註:パリの2丁目みたいなところ)に住む数百人のゲイだけだが、これらのゲイでさえ、全員が同性婚をするわけではない。
こんな少数の人間しか望んでいない同性婚について議会で審議する暇があったら、国民全体の生活に関わるもっと重要な問題、医療や年金、社会保障等について議論すべきである。
同性カップルの養子縁組の権利を擁護している人間については、現実を見ろといいたい。
彼らは同性カップルも異性カップルも同じで変わりないというが、それは嘘だ。
私はホモとしてはかなり真面目な方で、多くのホモと異なり、一度に一人のパートナーとしか付き合わない。
それでも、現在50歳の私が25歳のときに同性婚して養子縁組をしたと仮定すると、その養子には今頃、義理の父親が10人くらいできているだろう。
男女のカップルはそこまで頻繁に配偶者を変えることはない。
また現在、欧米における養子縁組の需要は供給を大きく上回っており、異性愛者のカップルでも自国の子供を養子にすることは非常に困難で、大半はアフリカやラテンアメリカ諸国から養子を迎えている。
しかしこれら養子を送り出しているアフリカやラテンアメリカ諸国はすべて、規則によって同性カップルとの養子縁組を禁じている。
そのため、たとえフランスで同性カップルに養子を認める法案が通ったとしても、現実に同性カップルが養子を得られる可能性は極めて小さい。
またフランスでも地方の小都市などではいまだに同性愛者に対する偏見が強く、そのようなところで、同性カップルが子育てをするというのは現実問題として無理がある。
同性カップルに育てられる子供が異性カップルに育てられる子供と較べて不幸になるとは限らない、という意見には同意する。
それでも、人工授精や代理母によって生まれた子供は自分の血筋やルーツを知ることを禁じられている。
同性カップルが子供を持つ権利を認めることは、子供が自分の血筋やルーツを知る権利を侵害することにつながるのである。
ざっとこんなところですが、彼のいうゲイという言葉をゲイリブに置き換えたら、大体、私の主張と一致します。
別のところで彼はゲイコミュニティーをゲットーと呼んでいますが、このへんも私と気が合いそうです。
実は、フランスで同性婚に反対している同性愛者は彼だけでなく、ほかにも沢山いて、ブログやSNSで積極的に発言しています。
彼らの反対にも関わらず、同性婚法案は可決されてしまったのですが、彼らの発言のお蔭で、少なくとも、すべての同性愛者が同性婚に賛成しているわけではないというあたり前の事実を世間に周知させることはできたわけです。
アメリカでは最近「同性婚に反対する者は人にあらず」という風潮が広まっていて、同性婚に反対する人間は「ホモフォビア」のレッテルを貼られて沈黙させられるといいますが、
それと較べると、同性婚に賛成する同性愛者と反対する同性愛者が活発に議論を戦わせるフランスの方がずっと民主的で健全だと思います。
翻って我がニッポンをみると、同性婚は政治的議題にすらなっていません。
ゲイリブにいわせると、それだけ日本が遅れているということになるのでしょうが、同性婚に反対するフランスの同性愛者の目には、
日本は先進国としてはめずらしくゲイリブに汚染されていない健全な国に見えるのではないでしょうか。
参照サイト:
Manif pour tous! 同性愛結婚反対デモ
http://www.newsdigest.fr/newsfr/blogs/blog/5509-2013-1-18.html
Amazon.fr: Homosexuel contre le mariage pour tous
http://www.amazon.fr/Homosexuel-contre-mariage-pour-tous/dp/2916872256
MARIAGE POUR TOUS. Je suis homosexuel, pas gay
http://leplus.nouvelobs.com/contribution/710831-je-suis-homosexuel-pas-gay-cessez-cette-confusion.html
「私的男色論」
本日のつぶやき
バンコクジジイのたわ言
http://ameblo.jp/bangkokoyaji/entry-11478942086.html
偶々、見つけたこのブログ、面白い!と思ったら、タイブログ・ランキング1位のブログでした。
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俺はホモじゃないといいたいのか。
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女優の秋吉久美子がタモリの番組でいってたけど、女優はみんな中味が男で、男優はみんな中味は女だそうです。
by jack4africa
| 2014-11-18 00:56