2006年 11月 23日
あのときの一言 |
先日、ホモに生まれたことで悩んだことはないと書きましたが、一応、人並みに人生について悩んだ時期はあります。
30代始めの頃です。
20代を面白おかしく極楽トンボのように遊び暮らして過ごし、気がついたら30歳を過ぎていて、周囲を見渡したらノンケの友人はみんな結婚して子供を作っていました。
私は結婚なんてしたいとは全然、思わなかったし、子供も嫌いで、欲しいとは思いませんでした。
それでも、ノンケの友人を見ていて、結婚して子供を作って育てるというのは、人生の暇つぶしの方法としては、けっこう悪くないな、と思いました。
子供を育てるのは苦労も多いだろうけれど、その苦労と裏返しになった楽しみも大きいだろうし、夢中で子育てして、気がついたらもう年寄りで、あとは死ぬだけという人生も悪くない、と思ったのです。
しかし、私の辞書には結婚の二文字はなかったし、家庭の幸せなんて最初から求める気もありませんでした。
ただ、それに代わるものがなかった・・・
友達は結婚しても、自分は相変わらず独身で、自分で稼いだ金は全部、自分のために遣って、だれにも束縛されずに自由気ままに生きていたのですが、人間、あまり自由だと、生きていく張り合いがないのです。
極端な話、突然、「明日、ブラジルに移住する!」と宣言しても、だれも止める人間がいないほど自由だったのです。
自分が空中をふわふわ漂っている糸の切れた凧のように思えて、これから何を目当てに、どんな風に生きていけば良いかわからなくなって・・・
そんな悩みをある知り合いのアメリカ人に打ち明けました。
彼は当時、60代半ばで、戦後、進駐軍の兵士として日本にやってきて、日本が気にいって住みつき、日本で商売を始め、日本女性と結婚して、息子が3人いるという人でした。
家庭を持ちながら、しょっちゅう、若いノンケの日本人の男の子を口説いては喰っていたので、ホモ仲間にはあまり評判はよくなかったのですが・・・
彼は、私の悩みを聞くと、いいました。
「代わりになにか素晴らしいことをやれば良いんだよ」
そして付け加えました。
「きっとできるよ!」
その言葉を聞いた瞬間、目の前がパーッと明るくなり、視野が広がったような気分になったのを覚えています。
その後、残念ながら、私は「素晴らしいこと」を何ひとつ実現できないまま、馬齢を重ね、現在に至っていますが、あのときの彼の一言で、随分と元気づけられ、生きる勇気が湧いてきたことは事実で、今でも彼には感謝しています。
by jack4africa
| 2006-11-23 18:58
| ホモ・ゲイ・オカマ