2010年 07月 30日
グレンダ・ジャクソン |
イギリス女性は、一般的にいって、ドスが効いているというか、アグレッシブなところがあって、同じヨーロッパでも、ヨーロッパ大陸の女性と較べると、
女らしい優しさに欠けるところがあるのですが、グレンダ・ジャクソンはそういうイギリス女性の典型のような気がします。
ちっとも美人じゃないし、かといって美人でないことを格別、気にしている風もなく、むしろ「なんで女なんかに生まれてきたんだろう。女なんて損だわ」とぶーたれているようなところがあって、
その辺のところが、ゲイの男性から見たら付き合いやすいのか、ケン・ラッセルやジョン・シュレシンジャーのようなゲイの監督の作品によく出演しています。
ケン・ラッセルは3回、女性と結婚しているそうですが、そのゲイ・テイスト溢れる作品を見る限り、ホモ趣味があるとしか思えません。
私が初めてグレンダ・ジャクソンを見たのは、彼女がアカデミー主演女優賞を獲得したこのケン・ラッセル監督の「恋する女たち」で、映画も彼女も素晴らしく、最高に感動しました。
この作品は別に同性愛がテーマになっているわけではないのですが、主演男優のアラン・ベイツとオリバー・リードが全裸でレスリングをするシーンがあって、中々、ヨカッタです。
実は、この映画の脚本を書いているラリー・クレイマーは、アメリカの有名なゲイ活動家で、
NYで一番、最初にゲイのエイズ自助組織を立ち上げ、自身もHIVに感染し、闘病生活を続けながら、エイズ問題に取り組んできた人です。
この「恋する女たち」の男同士の全裸のレスリング・シーンも、もしかしたらラリー・クレイマーのアイデアだったのかもしれません。
「恋する女たち」の翌年、グレンダ・ジャクソンは再び、ケン・ラッセルの作品、「恋人たちの曲/悲愴」 (1970) に出演します。
この作品は、男色家だった作曲家のチャイコフスキーの自伝映画で、チャイコフスキーの役は、自身、ゲイであることをカミングアウトしたアメリカの俳優、リチャード・チェンバレンが演じています。
この映画では、チャイコフスキーの悪妻を演じたグレンダ・ジャクソンが汽車の中で全裸になって夫に迫るシーンが話題になりました。
グレンダ・ジャクソンの猛々しく渦を巻いた下半身のヘアが印象的でしたが、一緒に観た友人によると、あれは「つけ毛」で、猛妻ぶりを強調するためにわざとああいうヘアスタイルにしたのではないかということでした。
彼女の出演作品で、私が一番、好きなのはジョン・シュレシンジャー監督の「日曜日は別れの時」 (1971) です。
これはバイセクシュアルの若い男性をホモセクシュアルの中年男性とハイミスの女性が取り合う三角関係を描いた映画で、ハイミスの女性をグレンダ・ジャクソンが演じています。
イギリス映画は同性愛をテーマにした作品がわりと多いのですが(「イギリスのゲイ映画」を参照)、この作品は、ゲイを描いた作品としてはかなり初期の作品になります。
それでも男同士の全裸のベッドシーンやキスシーンがさらりと出てきて、同性愛がテーマになると自意識過剰になって、ぎくしゃくしてしまうアメリカ映画とは対照的です。
中年の男女の双方から愛される青年はそのような三角関係に耐えられなくなって、ある日、突然、ロンドンを離れてNYに渡ってしまうのですが、
残された二人の男女が偶々、ある集会で初めて顔を合わし、照れくさそうに挨拶するラスト・シーンが秀逸でした。
グレンダ・ジャクソンは1992年に女優を引退して政治家に転身、労働党政権で運輸大臣を勤めたそうです。
運輸大臣よりも、男女共同参画大臣あたりが似合いそうですが。
恋する女たち
日曜日は別れの時
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| 2010-07-30 00:02
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