2010年 10月 26日
ゾマホン・ルフィン(1) |
先日、西アフリカの小国、ベナン出身のテレビタレント、ルフィン・ゾマホンが1999年に出版した「ゾマホンの本」という本を読みました。
この本は30万部も売れてベストセラーになったそうですが、ゾマホンはこの本の印税、2000万円をすべて故国、ベナンでの学校建設の費用に充てたといいます。
ゾマホンは、ビートたけしが司会する番組、「ここがヘンだよ日本人」で人気が出たそうですが、私はこの番組を見たことがなかったので、彼の名前を知ったのは比較的、最近のことです。
ゾマホンの故国、ベナンで水上集落のある湖がゴミによって汚染され、住民の健康に悪影響を与えているので、ゾマホンがそれを改善するために日本の水質浄化専門家を連れていって対策を講じる話をテレビで見たのが最初で、
その後、別の番組で、彼の特集をやっていて、彼が有名になった今も、家賃3万5000円の木造アパートに住んで1ヶ月の生活費を8万円以下に抑えて、
あまった金をすべてベナンでの学校建設などの社会福祉事業に遣っていると聞いて随分、立派なアフリカ人がいるなぁ、と感心しました。
それでこの本を買って読んだのですが、この本で彼は故国、ベナンでの生活、中国への留学、その後の日本への留学と日本でタレントになったきっかけについて詳しく書いています。
彼はベナンの水準では、特別、貧しくも裕福でもない平均的な家庭に生まれたそうですが、学校が大好きでよく勉強したそうです。
学校は家から10キロ離れていて、毎日、往復5時間かけて歩いて通ったそうで、学校から家に帰ると母親を手伝って農作業をし、家に電気がないので、夜は街灯の下で宿題をしたといいます。
学校の昼休みには、昼飯を食べる金がなくて井戸水ばかり飲んでいたそうです。
そのような話が大した苦労話に聞こえないのは、実際、ベナンではこの程度の苦労は苦労の内に入らないからでしょう。
学校に通えない子供が数多くいるベナンでは、学校に通えるだけでも恵まれた境遇だし、昼食を抜いて水を飲むことなども本人にとってはありふれた日常でしかなかったのではないでしょうか。
その証拠に、彼は日本に来てからも、お腹が空いたときは水を飲んでいたそうで、日本では公園でおいしい水がタダでいくらでも飲めるので感激したと書いています。
そんなゾマホンから見て、アフリカとは較べものにならないほど恵まれた環境で生活していながら、生活が大変だのへったくれのと文句をいい、
ちょっと挫折しただけで簡単に自殺してしまう日本人は甘ったれているとしか思えず、自分の恵まれた境遇にもっと感謝しないとバチが当たるヨ、と警告しています。
彼はこの本で繰り返し「人生甘くない」と書いていますが、これは彼が15歳のときに過労でなくなったお父さんが口癖のようにいっていた言葉だそうです。
実際、人生は甘くないし、人生に苦労はつきものです。
おのれの無能と努力不足を棚に上げて、自分が希望する仕事に就けないのは、社会が悪い、自民党が悪い、小泉改革のせいだなどと文句をいう連中は、
人生というものはすべて、自分の思うとおりになるのが当たり前だと考えている幼稚な子供と同じです。
人生というものは自分の思うとおりにならないのが普通なのです。
こんなこといちいち言わなくとも、昔の日本人は常識として知っていたのですが・・・
ゾマホンはまた、日本人は欧米文化に毒されて堕落していると批判しています。
自分たちアフリカ人は実際に欧米の植民地になって、欧米の奴隷にされたからよくわかるけれど、日本人もこのまま行ったら欧米の奴隷になるよ、と警告しています。
ゾマホンの故国のベナンがある西アフリカのギニア湾沿岸は、ヨーロッパ人が一番最初に接触したアフリカの地域で、この地域に住む黒人が一番最初に奴隷にされたんですよね。
またこの地域はブラックアフリカでは比較的、文化レベルの高いところで、ヨーロッパ人が来る前から黒人の王国ができていました。
そのため、この地域のアフリカ人は、アフリカの中でも特別、プライドが高く、それだけ自分たちの住む国が欧米の植民地になってしまったことが悔しくてしょうがないみたいです。
以前、フランスのパリに住んでいたとき、アフリカの元フランス植民地から来た黒人留学生に、
「日本人はフランス語が下手だな」
といわれて、
「日本はフランスの植民地になったことがないからね」
と言い返したら、黒い顔を真っ赤にして怒ったので驚いたことがあります。
こういうプライドの高い黒人にはアフリカでも沢山、出会いましたが、彼らのプライドの高さと現実の生活の貧しさのギャップが見ていて辛かったです。
ゾマホンの故国、ベナンもフランスの植民地になって、住民はキリスト教に改宗させられ、学校ではフランス語を教えられたそうですが、
すべての子供が学校に通うわけではないので、大統領が公用語であるフランス語で演説しても、国民の多くはその言葉を理解できないという、滑稽かつ悲劇的な状況が起きているそうです。
ゾマホン・ルフィン(2)へ
by jack4africa
| 2010-10-26 00:00
| アフリカの記憶

