2012年 07月 10日
インド・ラダックの旅(9) |
☆ 帰途へ
レーに5日間、滞在して帰国の途へ。
デリー行きの飛行機の出発時間は朝の7時だったので、5時にタクシーに迎えに来てくるように頼んだのですが、ゲストハウスから空港までわずか10分で着いてしまい、もうちょっと遅くても良かったかなと思いました。
レーの飛行場は小さいですが、国境に近いせいかやたらと兵士の姿が目につきます。
飛行場に入るときも、ターミナルの建物に入るときも、いちいちパスポートと航空券を兵士にチェックされます。
荷物のチェックも厳しく、機内持ち込みサイズのキャリーバッグを飛行機に持ち込むことが許されず、チェックインするようにいわれました。
しかもいったんチェックインした荷物をターミナルの外の荷物運搬車に積み込む場所に並べて、いちいち乗客に自分の荷物であることを確認させてから積み込むという念の入れようです。
このように検査は厳しかったものの、飛行機の出発時間を過ぎても、いっこうに搭乗のアナウンスがありません。
出発ロビーの待合室にいたインド人の乗客の話では、空に霧が出ているため、出発するかどうか決めかねているんだそうです。
デリーから飛んで来た飛行機は着陸を諦めて引き返したとか。
航空会社の社員が何人かターミナルビルの外に出て、空を眺めていますが、実際、上空は霧で覆われています。
しかし見ていると、霧は少しずつ晴れてきています。
それでわりと気分的に余裕を持って待っていたのですが、出発予定時間の7時から3時間経ってようやく霧が晴れてきて、出発する旨のアナウンスが流れました。
出発のアナウンスが流れると、インド人の乗客は大歓声を上げ、搭乗ゲートに係員が姿を現すといっせいに拍手。係員の方も両手でガッツポーズを作って拍手に答えています。
もしかして自分はトンデモない辺境を旅しているのではないかという気持ちになってきました。
飛行機が出るとわかって安心したせいか、尿意を催してきて、それでトイレに行ったのですが、トイレから戻って搭乗口にいた係りの女性にボーディングパスを見せると、
「あなた、まだいたの? もうみんなバスに乗っていったわよ」
といいます。
そういえば、さきほど大騒ぎしていたインド人の乗客たちの姿が消えています。
すんでのところで飛行機に乗り遅れるところでしたが、係りの女性が無線でバスの運転手に連絡してくれたので、バスが戻ってきて、
私ともう一人、やはり積み残されたインド人のおばちゃんを乗せて飛行機が駐機しているところまで連れていってくれました。
結局、最後の乗客として飛行機に乗り込んだのですが、私の座席は非常口の横の窓際の席で、
座席に座ると、イケメンのCAがやってきて、
「あなたは、非常口の隣の座席に座っているから、非常事態が起きたときは、あなたが非常扉を開けなければならない。あなたにそれが出来るか?」
とじっと私の目を見て訊いてきます。
「そんなこと、できるわけないでしょ!」
といいたかったけど、とりあえず、
「そのような事態が起こらないように祈ってます」
とかなんとか適当に答えておきました。
しかしチェックインカウンターの女性はなぜ一目で外国人とわかる私にこんなややこしい席を割り当てたのでしょうか。
イケメンCAはさらに私が前の座席の下に置いていたショルダーバックを取り上げ、
「この座席は前に荷物を置いてはいけない」
と勝手に頭上の物入れに収めてしまいました。
ショルダーバッグにはデジカメが入っていて、ヒマラヤの写真を撮るつもりだったのですが、
いずれにせよ、この日は往路のフライトのときと違ってヒマラヤ上空は厚い雲で覆われていて、写真を撮るチャンスはありませんでした。
結局、3時間以上、遅れてデリーの空港に着いたのですが、デリーのエアターミナルの立派になったこと!
昔は、これでも一国の首都の国際空港かといいたくなるようなボロい建物で、エアターミナルというよりもバスターミナルといった感じのところだったのです。
それがこんなに綺麗で立派なエアターミナルが出来ているということは、最近のインドの目覚ましい経済発展ぶりを反映しているのでしょうが、
その新しい立派なエアターミナルの電光掲示板に表示されている出発便がドバイやアブダビなど湾岸諸国に向かうフライトばっかりで、
これら湾岸諸国に出稼ぎに行くインド人の労働者が出発ロビーに溢れている光景を見る限り、インドが本当の意味で豊かになるのはまだまだ先の話だと思いました。
続く
「2012 インド・ラダックの旅」
by jack4africa
| 2012-07-10 00:08