2012年 08月 10日
日本の貧困と格差 |
先日、NHKの番組で日本の貧困と格差を特集していました。
番組では、格差社会の底辺にいるという東京に住む24歳の女性と大阪に住む29歳の男性を取り上げていました。
東京に住む24歳の女性は派遣社員として法律事務所で働いていて、月給は手取り16万円。それでは足りないので、月に1回、日曜の夜、焼肉屋でウェイトレスのアルバイトをして5000円稼いでいるそうです。
つまり、彼女の月収は手取りで16万5000円ということになりますが、24歳の女性の収入としては、特に悪くはないんじゃないでしょうか。
東京は家賃が高いので、生活に余裕はないでしょうが、最低限の衣食住は賄えるだけの収入は得ているわけで、そんな彼女の生活を「貧困」と呼ぶことには抵抗を覚えます。
高給取りのNHK職員からみたら、この程度でも貧困になるのかもしれませんが、エアコン、バストイレ付きのワンルームマンションに住む彼女の生活は、世界の多くの貧しい人々から見れば、かなり贅沢な生活です。
日本でも私の若い頃には、風呂付きのアパートに住むことは贅沢とされていて、4畳半から6畳一間のトイレが共同のアパートに住み、銭湯に通うというのがフツーの若者の生活でした。
ある人にいわせると、現在の日本の若者は人類史上、最も贅沢な生活を送っているのだそうです。
実際、先進国の水準からいっても、日本の若者は恵まれています。
以前、同じNHKで放映していたフランスの若者の住宅難を特集する番組で、パリのセーヌ河岸でテント生活をしている若い女性を紹介していましたが、彼女の月収は手取り8万円で、
物価の高いパリで、この収入でアパートに住むことは到底、不可能なので、テント生活をしているとのことでしたが、最近のパリではこのようなテント生活をする人間の数が減ってきているそうです。
状況が改善したわけではなく、現在はテント生活に変わって、パリ市内の空いている部屋に勝手に入って生活する人間が増えているのだそうです。
住宅困窮者にこのような空き室を紹介するNGOがあるそうで、当局も黙認しているとのことですが、
別のテレビ番組でみたそのような空き室に住む若者は、キッチンもバスもトイレも付いていない6畳位のスペースの部屋に住んでいて、部屋には寝袋と全財産が入ったバックパックが置かれているだけ。
こういう生活こそ「貧困」という名に値するのではないでしょうか。
日本では前述の東京に住む女性だけでなく、大阪に住む男性も小奇麗なワンルームマンションに住んでいます。
大阪に住む男性は29歳。高校を卒業してから10年間、職を転々として、現在は派遣社員をしているそうです。
手取りの月収は15万円しかないそうですが、それでも大阪は家賃が安いので、フツーのワンルームマンションに住めるのです。
昨年、アメリカで反格差デモが起こって、日本でもそれを真似したデモが起きましたが、長続きはしませんでした。
日本の若者はそこまで追い詰められていないからです。
スペインでは若者の失業率が50パーセント、フランスでも25パーセントに達しているそうですが、日本では安月給さえ我慢すればまだまだ仕事はあるし、安月給でも前述したように最低限の文明生活はおくれるのです。
結局のところ、今、日本の若者が抱えている不満や不安は、今現在の生活はなんとかやれているけれど、将来の展望が見えないということだと思います。
しかし、将来が不安だといって悩むのは、その日その日の生活でせい一杯で、明日のことなんか考える余裕もない世界の本当に貧しい人々と較べると随分と恵まれた環境です。
現在、日本の若者はひたすら安定志向になっているみたいで、上記の東京の女性も大阪の男性も派遣社員ではなく正社員になりたいとこもごも語っていましたが、会社といってもピンからキリまであるわけで、ブラックな企業の正社員になってもしょうがありません。
事実、大阪の男性は過去2回、正社員になったことがあるそうですが、2回とも仕事が大変で辞めてしまったそうです。
若者の安定志向の結果、公務員志望の若者も増えているそうですが、公務員だと中々、クビにならないという時代は終わりに近づいていると思います。
これからは大阪の橋下市長のような首長がどんどん出てきて、公務員も簡単にリストラされるようになるでしょう。
日本では、戦後、長い間、安定した平和な時代が続いていて、それがあたり前みたいになっていますが、このような時代は歴史的にみると例外的で、これから先は当分、不安定な時代が続くと予想されます。
そのような時代に安定を求めること自体、間違っているとしか思えません。
具体的にいうと、ただひたすら正社員を希望するのではなく、不況でも生きていけるような専門的技能を身に着けるように努力すべきです。
たとえば、前述の東京の女性は法律事務所で働いているそうですが、それならば司法書士の資格を取るための勉強でも始めればよいのではないでしょうか。
大阪の男性に関しては、一生の仕事を見つけるべき20代の大半を何もしないまま漫然と過ごしてきたのだから、底辺の境遇に堕ちてもしょうがないでしょう。
それでも日本では最低限の文明生活が享受できるわけで、日本に生まれたことに感謝すべきです。
彼はこんな安月給では結婚できないと嘆いていましたが、私も彼は結婚できないと思います。
顔もアレだったし。。。
しかし、これまでのようにだれもが結婚できた時代の方が異常だったのです。
これからは経済力もない、ルックスもパッとしない男性は、女性から相手にされないでしょうが、本来、それが自然なのです。
どうしても結婚したいのであれば、頑張って働いて金を稼ぐことです。
それが出来ないのであれば、潔く結婚を諦めるべきです。
独身生活をン十年も続けてきた私にいわせれば、独身生活というのは人がいうほど悲惨なものではありません。
むしろ扶養家族がない分、気楽です。
by jack4africa
| 2012-08-10 00:05
| 日本と日本人