2012年 08月 28日
ゲイの老後のためのNGOは必要か? |
去年の暮れ、このブログを愛読しているという人からメールが来て、
「ゲイの老後のためのNGOを作りたいから協力してくれないか」
といってきました。
ゲイは結婚せずに独身で過ごす人間が多いから、老後は孤独になる。そのためにゲイの老後の面倒をみるNGOを作りたいというのですが、
私としては、なぜゲイだけを特別扱いしなければならないのか、その理由がよく理解できませんでした。
現在、日本は高齢化社会を迎えて、独居老人が増えてきていますが、一人暮らしの老人はホモに限ったことではありません。
ノンケでも一生、独身を通す人間はいるし、結婚していても配偶者に先立たれて一人暮らしをしている老人は多いし、子供がいても様々な理由で子供とは同居せずに一人で暮らしている老人もいます。
そういう一人暮らしのノンケの老人をホモの老人となぜ区別しなければならないのか、私にはわからないのです。
ホモは男好き、ノンケは女好きの違いはありますが、年をとればホモもノンケも関係なく性欲は衰えてくるし、そうなった場合、ホモの老人が直面する問題とノンケの老人が直面する問題に大きな違いがあるとは思えないのです。
一人暮らしの老人が直面する問題の一つに孤独死があります。
先日、「孤独死」をテーマにしたテレビの番組をみましたが、番組では、一人暮らしをしていて孤独死したある老人のケースを取り上げていました。
この老人には親戚がいたのですが、この親戚とは生前から絶縁状態になっていたために遺体の受取りを拒否され、
代わりに市役所の職員が彼の遺体を引き取って、市の施設で簡単な葬式をあげていました。
花が飾られた小さな祭壇の前で、お坊さんがお経をあげ、市の担当職員が焼香していましたが、この簡単な葬式のあと、遺体は焼き場に運ばれて焼かれ、
遺骨は無縁仏を受け入れているお寺のコインロッカーみたいな遺骨を納めるロッカーに安置されました。
費用はぜんぶで20数万円、故人の貯金が残っている場合は、そこから差し引き、貯金が残っていない場合は市が負担するのだそうです。
テレビ番組ではこの老人のケースを「無縁社会の悲劇」みたいに扱っていましたが、私は「行政はここまで面倒をみてくれるのか!」と感心し、「これで安心して孤独死できる」と思ったものです。
一人暮らしの老後の不安のひとつに、年をとって病気になった場合に、だれにも世話してもらえないのではないかという不安があります。
これについても先日、みたテレビ番組の独居老人の話が参考になりました。
この番組で取り上げていた老人は末期がんで病院に入院していた84歳の男性です。
彼は病院で治療を受けていたのですが、これ以上、治療しても無駄であるということで、退院させられることになります。
現行の保険制度では、治療もせずに入院させておくと保険の点数が稼げないので、彼のような患者はすぐに退院させられるのだそうです。
それで彼は一人ぼっちでほっぽり出されたのかというと、そういうことはなくて、介護保険によってヘルパーが1日に2回、彼の一人暮らしのアパートに来て、身の回りの世話をしていました。
この老人は退院してから1ヶ月後に亡くなったのですが、彼の容体が重篤に陥った最後の一週間は、介護保険では1日に2回しか訪問できない決まりであるにも関わらず、
ヘルパーの女性は1回分を無料サービスにして1日に3回、来て世話を焼いていました。
この男性も身寄りがなく、焼き場には彼の最後を看取ったヘルパーの女性が付き添っていって骨を拾っていましたが、こういう親切な女性に看取ってもらえた老人は幸せだったと思いますね。
もうひとつ老後の不安として、長生きしすぎて貯金が底をついてしまうとか、年金は貰っているけどそれだけでは食べていけないなどという経済的な問題があります。
先日、福祉関係の仕事をしている知り合いに訊いたところ、そういう老人は簡単に生活保護が受けられるんだそうです。
「最近は、生活保護の不正受給とか問題になってるから、生活保護を受けるのもムツカシイんじゃないの?」
と訊いたら、
「ぜ~んぜん、すごく簡単に受けられるわよ」
といってました。
生活保護を受給するためには、親きょうだいなど親族が本人を扶養するだけの余裕がないこと、また本人は働く意思があるにもかかわらず、仕事がないことが条件になっているそうですが、
高齢者の場合、職安には高齢者の求人は殆どないことから、2番目の条件は最初からクリアしているとみなされるそうです。
あと持ち家に住んでいる場合は、持ち家が財産とみなされて、生活保護は受けられないそうですが、
借家か賃貸アパートに住んでいて、きょうだいなど親族からの援助を受けられない高齢者については、殆ど自動的に生活保護が受けられる仕組みになっているといいます。
というような訳で、一人暮らしの老人が抱える問題のかなりの部分は、現行の福祉制度や行政サービスによってカバーされるのです。
これらの制度やサービスによってカバーされない部分を補うためにNGOを立ち上げるのは結構なことだと思いますが、その場合には、ゲイの老人だけを相手にするのではなく、困っている老人すべてを対象にすべきでしょう。
そもそも、大半の日本のホモはカミングアウトしていないので、「ゲイのための」と銘打ったNGOを作っても、そのようなNGOに参加したいと考えるホモは殆どいないでしょう。
そのようなNGOに参加することは、自動的にカミングアウトにつながるからです。
そのため、ゲイの老後のためのNGOとやらを作っても、一般ホモからはそっぽを向かれ、寄って来るのは利権目当てのゲイリブだけという結果になってしまうのは明かです。
そのような理由で、私は「ゲイの老後のためのNGO」の設立に協力することを断ったのでした。
by jack4africa
| 2012-08-28 00:00
| ホモ・ゲイ・オカマ

