2012年 12月 18日
ミャンマー周遊(1) |
ミャンマーを旅行してきました。
ミャンマーは以前、ビルマと呼ばれていたときに、飛行機の乗り継ぎの関係で、首都ラングーン(現ヤンゴン)に1泊したことがあるのですが、本格的に旅行したのは今回が初めてです。
最近の私の海外旅行は、加齢に伴って、世界オトコ巡りから世界遺産巡りへとシフトしつつあるのですが、今回のミャンマー旅行の一番の目的は、
カンボジアのアンコールワット、インドネシアのボロブドール遺跡と共に世界三大仏教遺跡と呼ばれるバガン遺跡を訪れることでした。
バガンのほかには、首都のヤンゴンとミャンマー第二の都市であるマンダレーにも行く計画を立てて旅行の準備を始めたのですが、
準備を始めてみてわかったのは、ミャンマーが個人で旅行するにはけっこう面倒な国であるということです。
まず個人旅行の場合、ミャンマーのビザを取得しなければならないのですが、ビザの取得には申請用紙だけでなく、日程表や職業証明書まで提出しなければなりません。
数年前にミャンマーで反政府デモを取材していた日本人カメラマンが警官隊に射殺されるという事件が起こって、
それ以来、ミャンマー政府は日本人カメラマンの入国に神経質になっていて、職業証明書の提出を義務付けるようになったのだそうです。
もうひとつ予期せぬ事態が待ち受けていました。
ミャンマー国内のホテル代の高騰です。
昨年のミャンマーの「民主化」以来、西側諸国が軍事政権に課してきた経済制裁が解除され、
それを受けて欧米企業や日本企業がいっせいにミャンマーに進出し始めたため、ヤンゴンに世界中のビジネスマンが殺到しているというのです。
特に日本企業の場合は、今年9月の中国の反日デモを受けて中国離れが加速し、中国の代替地としてのミャンマーの存在がクローズアップされ、日本人ビジネスマンのミャンマー詣でがこれまでになく活発になっているといいます。
その結果、ミャンマー国内のホテルに対する需要が供給をはるかに上回るようになり、ホテル代がここ一年ほどで2倍から3倍に高騰したというのです。
たとえば、ヤンゴンの中級ホテルであるCentral Hotel Yangonの場合、つい一年ほど前は1泊25ドルで泊まれたのが、現在は同じ部屋が1泊80ドルまで値上がりしていて、それでも満室で中々、予約が取れない状態が続いているそうです。
私は東南アジアを旅行をするときは、いつもこのかってのCentral Hotel Yangonのような1泊25ドルくらいの中級の下くらいのホテルに泊まっているのですが、そのクラスのホテルが1泊80ドルもするのでは到底、宿泊は不可能です。
現在、ミャンマー国内のホテル代はタイよりも高くなっているといわれていますが、そのような状況ではいつもは避けているバックパッカー向けの安宿に泊まらざるを得ません。
安宿の方も宿泊代は高騰しているそうですが、値上がり前の宿泊代が1泊5ドルから10ドルと安かったので、値上がりしても1泊15ドルから25ドルくらいで泊まれるのです。
しかし安宿も12月から始まる観光シーズンは満室が続いていて、宿を押さえるのにけっこう苦労しました。
そのほかにも、ミャンマー旅行では、ほかの東南アジア諸国を旅行するときには遭遇しない様々な面倒を経験しました。
たとえば、ミャンマー国内線のヤンゴン→マンダレー間とバガン→ヤンゴン間のエアマンダレーのチケットをインターネットで予約したのですが、クレジットカードで決済できないのです!
航空運賃はヤンゴンに着いてから、ヤンゴン市内のエアマンダレーの事務所までわざわざ出向いていって、ドルの現金で支払わなければならないのです。
これではインターネットで予約する意味がないような気がするのですが、ミャンマーではまだクレジットカードは普及しておらず、
ホテルでもカードでの支払いを受け入れるのは一部の高級ホテルだけで、カードでの支払いには5パーセントから6パーセントの高い手数料が上乗せされるといいます。
またミャンマーではATMも殆ど使えないそうです。
ちなみに携帯電話も普及しておらず、持っている人は少ないです。
ミャンマーはつい最近まで軍事政権が続いていて、事実上、鎖国状態に置かれていたことから、他の東南アジア諸国と較べていろんな面で遅れており、
ホテルなどの観光インフラも含めて、これから整備しなければならない制度や施設がまだまだ多いという印象を受けました。
それでもかってあった旅行者の間で非常に評判が悪かった「強制両替」がなくなっただけでもマシかもしれません。
強制両替というのは、かってミャンマーでは通貨のチャットの公定レートと闇レートが100倍くらい離れていて、旅行者がみんなブラックマーケットで両替するために、
業を煮やしたミャンマー政府が旅行者一人当たり200ドルを公定レートで両替するように義務づけた制度です。
この強制両替制度は数年前に撤廃され、現在では銀行で両替するときの公定レートとブラックマーケットで両替するときの闇レートの差も小さくなっているそうですが、
それでもミャンマーを旅行する外国人旅行者には、飛行機代や汽車賃、船賃などの輸送機関の料金については、外国人向けの割高なドル建て料金が課せられており、
一般的な物価は安いものの、外国人旅行者にとってミャンマーはほかの東南アジア諸国と較べて、それほど安く旅行できない国になっています。
「ミャンマーの旅」
by jack4africa
| 2012-12-18 00:00