2006年 05月 30日
ネオナチ |
サッカーのワールド・カップ(W杯)の開幕を前にして、ドイツの首都ベルリン東部など旧東ドイツ地域で、外国人を標的にした暴行事件が相次いでいるそうです。
外国人を襲撃しているのは、ネオナチと呼ばれる若者達だそうですが、ドイツでは第二次大戦に対する反省から、戦後はナチズムを非合法化していて、ナチズムを賞賛するような政治団体の結成は法律で禁止されているはずです。
それなのになぜ、ナチズムを賛美するネオナチの若者が生まれてくるのでしょうか?
私は戦後のドイツがヒトラーやナチスを完全に否定したことに原因があるんじゃないかと思っています。
ナチスが、ホロコーストという人類史上未曾有の犯罪を犯したことを考えると、否定せざるを得なかったのでしょうが、ヒトラー率いるナチ党は、軍事クーデターなどではなく、民主的な選挙で第一党になって権力を掌握したのです。
ナチの宣伝映画を監督したことで悪名高いドイツの女流監督、レニ・リーフェンシュタールは、晩年のインタビューで、当時のドイツ国民の9割はヒトラーを支持していたと言明しています。
もし、ヒトラーが国民の間でそれほど人気があったのであれば、それなりの理由があったはずです。
政権の座に就いたヒトラーは、第一次大戦の賠償金負担と世界恐慌による経済の悪化によって、天文学的インフレが起こり、国民の大半が失業者となっていたドイツで経済の復興に取り組み、軍需産業や自動車産業の育成、公共事業としてのアウトバーンの建設をおこなって失業者を殆ど一掃したといわれています。
また1936年には国の威信をかけたベルリン・オリンピックを開催して成功を収め、ドイツ国民に失った自信と誇りを取り戻させました。
ヒトラーは悪いことだけでなく、良いこともやったのに、戦後のドイツはそれを完全に無視して、かってヒトラーに熱狂した国民の感情を抑圧してしまったのです。
抑圧された感情は消え去ることなく、ドイツ国民の心の中に留まり、時々、ネオナチの暴力という形で噴出しているのではないでしょうか。
翻って日本を見ると、日本ではドイツのように若者のグループによる外国人襲撃事件など起っていません。
同じ敗戦国として、日本はドイツと較べて先の戦争に対する「反省」が足りないとよくいわれます。
あるいはそうかもしれません。
しかし、反省しているといわれているドイツでネオナチが生まれ、反省が足りないといわれている日本では、そのようなものは生まれていないのです。
中国や韓国は、戦後60年経っても相変わらず「日本は反省していない」と繰り返し、日本に謝罪や補償を要求していますが、日本政府がその圧力に屈して、これ以上、卑屈な外交を続ければ、そのときこそ、日本でもネオナチのような集団が生まれてくると思いますね。
by jack4africa
| 2006-05-30 01:18
| 国際関係