2015年 02月 10日
KANO 1931海の向こうの甲子園 |

プロデューサー:ウェイ・ダージョン(魏徳聖)
監督:マー・ジーシアン(馬志翔)
出演:永瀬正敏、大沢たかお、ツァオ・ヨウニン(曹佑寧)
昨年、台湾で公開されて大ヒットした台湾映画、「KANO 1931海の向こうの甲子園」がようやく日本で公開されたので観に行ってきました。
この映画は、戦前の1931年に台湾嘉儀(かぎ)市の嘉儀農林学校の野球チームが甲子園球場で開催された全国中等学校野球大会に台湾代表として出場して準優勝まで勝ち進んだという実話に基づいて製作されたもので、
日本人、台湾人(漢人)、原住民(蕃人)の部員から成る嘉儀農林学校、略してKANOの混成野球チームが日本人監督の厳しい指導の下に一丸となって甲子園を目指し、努力の末にそれを実現するというスポ根物語です。
実は、戦前の高校野球である全国中等学校野球大会には、日本各地の代表チームに混じって、当時の大日本帝国の版図である台湾や朝鮮、満州の代表チームも出場していました。
現在、中韓はこのような過去の歴史を完全に封印していますが、唯一、台湾だけがこの過去の史実を掘り起こして映画化したわけです。
この映画のプロデューサーであるウェイ・ダージョンは、やはり台湾で大ヒットした「海角七号/君想う、国境の南」(2008)、「セデック・バレ」(2011)の監督で、
今回のKANOでは、「セデック・パレ」に俳優として出演していたマー・ジーシアンを監督に抜擢し、みずからはプロデューサーを勤めています。
これら3つの作品に共通するキーワードは日本で、すべて日本が関係しています。
「海角七号」は、日本統治時代の台湾で台湾人少女と恋に落ちたものの、日本の敗戦と共に日本に帰国しなければならかった日本人青年が台湾人少女に書き送った恋文が60年ぶりにかって少女だった老婆の元に送られるという話で、
「セデック・パレ」は、1930年、日本統治下の台湾で起こった先住民セデック族による抗日暴動である霧社事件を描いています。
そして今回のKANOになるのですが、台湾でなぜこれほど日本と台湾の関係を描いた映画が頻繁に製作され、それがヒットしているかというと、
台湾人が台湾人としてのアイデンティティーを模索するようになっていることと関係があるように思われます。
台湾人が台湾人としてのアイデンティティーを確立しようと思えば、過去の台湾の歴史を直視する必要があり、その場合、台湾を植民地にして台湾の近代化を推進した日本の存在を無視することはできません。
そのため、かって国民党政権によって押し付けられた日本=加害者、台湾=被害者という単純な図式から離れて、あらためて日本と台湾の関係を見直そうという気運が盛り上がっているのではないかという気がします。
そのへんの台湾人の心情については、マー・ジーシアン監督がインタビューで語っていますが、彼の話を聞いていると、台湾の民度は中韓などとは較べものにならないほど高いことがあらためてよくわかります。
台湾映画のレベルが高いのはもちろん、この台湾の民度の高さと無関係ではありません。
マー・ジーシアン監督インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=In0xdJpyhsM&feature=youtu.be&t=23m17s
もっともウェイ・ダージョン監督、製作のこれらの映画はすべて通俗的な娯楽作品で、それほど難しく考えないで気楽に鑑賞できる映画になっています。
「セデック・パレ」などは、原住民が日本兵を殺しまくる台湾版アバターとでも呼ぶべき荒唐無稽な話になってますし。。。
「セデック・パレ」の基になった実際の霧社事件では、日本兵の死者はわずか数名、反対に原住民側の犠牲者は500人から600人に上ったそうで、彼我の武力の差を考えると、それが当然でしょう。
ただ極東アジアにおける日本と台湾が置かれている複雑な政治的状況ゆえに、通俗的な娯楽映画といっても、政治とは完全に無関係ではありえません。
特に今回のKANOの場合は、「日台友好、バンザイ!!」みたいな内容になっていることもあって、日本と台湾が仲良くなることを快く思わない勢力には見過ごすことができなかったようで、
台湾では昨年2月に公開されたにもかかわらず、日本公開は今年1月までずれこみ、その間、「アゲイン 28年目の甲子園」と「バンクーバーの朝日」という二番煎じの作品が2本も製作され、
これらの映画をKANOの公開にぶつけて同時期に公開するという露骨なKANO潰しが行われています。
KANO 予告編
https://www.youtube.com/watch?v=kW9qmn_3wsE





背が高く、精悍な顔立ちの彼らを見ていると、ポリネシアンの起源は台湾で、そこから南太平洋各地に散らばったという説は正しいように思えます。
原住民選手
https://www.youtube.com/watch?v=y1w3IuuRuxY
監督のマー・ジーシャン自身、タイヤル族の父とアミ族の母の間に生まれた原住民で、俳優として出演した「孽子(ニエズ)」で見せたあの神話的な美しさは失われているものの、今でも十分、カッコイイです。
あとこの映画で野球選手の役を演じた少年たちは、実際に野球をやっている少年たちから選ばれたそうで、ピッチャー役を演じているツァオ・ヨウニンは、
2014年に開催されたU21ワールドカップ野球大会に台湾代表として出場し、決勝で日本チームを破って優勝するという映画を地で行く活躍を見せたそうです。

by jack4africa
| 2015-02-10 00:05
| 世界の映画&音楽

