2006年 10月 06日
ゲイリブの嘘 |
去年、ブラジルに行く前に、ネットでブラジルのゲイ情報を集めていたとき、ブラジル第三の都市サルバドールのゲイ団体による「ブラジルは同性愛者の殺人では世界チャンピオン」というレポートを見つけました。
このレポートによると1998年には、ブラジル全土で116人の同性愛者が殺人事件の被害者となったそうで、その内訳は、同性愛者の男性73人、性転換者36人、レスビアン7人だそうです。
しかしその頃、読んだ別のブラジルを紹介する本によると、ブラジルでは1997年だけで4万4500人、一日平均124人も殺人事件の被害者がでているのだそうです。
だとすると、年に116人という数は、それほど大きな数字ではないのではないか。
116人という数字それ自体は世界一かもしれないけれど、それはブラジルが犯罪率が非常に高く、かつ人口が多い国だからそうなっただけで、全人口に占める同性愛者の比率から考えたら特別、多くはないという気がします。
あとこのデータで注目すべき点は、殺された同性愛者の内、性転換者が3分の1を占めるということです。これはブラジルでは女装の男娼が多いことを示しています。
女装の男娼が多いこと自体、ブラジルがホモフォビアの強い国ではないことの例証になると思いますが、男娼の場合、客との金銭上のトラブルで殺されたり、また夜、人通りの少ないところで立ちんぼしていて、チンピラやギャングに襲われる危険が高いことは容易に想像がつきます。
女性売春婦の被害者数を調べて比較しないと、はっきりしたことはいえないのですが、男娼が殺されるのは、同性愛者であるという理由で殺されるのではなく、男娼という犯罪にまきこまれやすい職業についているために、結果的に殺人事件の犠牲者になるケースが多いと解釈する方が正しいような気がします。
「ブラジルは同性愛者の殺人のチャンピオン」という上記のレポートのタイトルだけ読めば、ブラジルがよほどホモフォビアの強い国であるかのような印象を受けますが、実際にブラジルに行ってみると、バイセクシュアルの男が多く、ホモフォビアなんて全然感じなかったし、むしろ同性愛に寛大な国との印象を受けました。
ブラジルが世界でも稀に見る犯罪大国で、同性愛者であるかどうかに関係なく、毎日、多くの人が殺人事件の犠牲者になっているという単純な現実に目をつむって、同性愛者の被害者数だけを取り上げて、あたかもブラジルがホモフォビアの強い、同性愛者が迫害を受けている国であるかのごとく喧伝する。
こういう偏った不正確な情報は、ブラジルのゲイ団体だけでなく、世界のほかの地域のゲイ団体の発信する「ゲイ情報」にもよくみられます。
元々、ゲイ団体なんて世界中どこでも、被害者意識の強い連中ばかり集っているから、こういう現実とは乖離した「情報」ばかりがネットに氾濫することになるのでしょう。
イランの少年の死刑事件のときもそうでしたが、こういうゲイ団体の提供する「情報」を吟味せずに、そのまま鵜呑みにするのは危険だと思いますね。
by jack4africa
| 2006-10-06 00:10
| ゲイリブという幻想