2007年 09月 04日
インドのゲイ映画 |
インドは公用語だけでも14の言語があるという多言語国家です。
インドの州は大体、言語別に構成されていて、各州では、その州の言語の映画が制作されています。
たとえば、南インドのタミール・ナドゥ州では、タミール語映画、その北隣のアンドラ・プラデッシュ州では、カンナダ語映画が制作されています。
さらに、インドの標準語であるヒンディー語の映画が、ボリウッドと呼ばれるボンベイ郊外の撮影所で撮影されています。
各州の言語で制作される映画が基本的には、その州でしか上映されないのにたいして、ヒンディー語映画はインド全土で上映され、ヒンディー語映画のスターは全国区のスターとして通用しています。
さらにインドでは英語の映画も制作されています。インドはイギリスの植民地だったせいで、ある程度の教育を受けている人は英語が話せますし、多言語国家インドではヒンディー語と並んで、英語が標準語の役割を果たしてきたのです。
英語のインド映画は、どちらかといえばインテリ向きで、インドの娯楽映画に特有の歌って踊るソングシーンもなく、社会的なテーマを扱うことが多いです。
1998年に制作された英語映画、『ボンベイ・ボーイズ』(Bombay Boys)(写真上)では、それまでインド映画が取り上げることがなかったインドの同性愛者の生態が赤裸々に描かれていて、話題を呼びました。
映画は、外国で生まれ、育った3人のインド人の若者が、自分探しの旅で両親の故国であるインドを訪れるというストーリーで、3人の若者の内の一人がゲイで、彼を通してボンベイのゲイの実態が描かれます。
ボンベイにはまだゲイバーは存在しないみたいですが、ゲイが集るレストランがあって、そこで主人公のゲイの若者がボンベイで知り合ったゲイの若者と一緒に席について、テーブル越しに手を握り合い、じっと見つめ合っていたら、ゲイ嫌いの客に罵倒されるシーンが出てきます。
あとマリン・ドライブと呼ばれる海岸に沿った道路の海側の擁壁に5メートル位の間隔を空けて、ゲイ相手に身体を売っている若い男が立っていて、金持ちのインド人のゲイが車を徐行運転しながら、若者を一人ずつ品定めし、気に入った若者を車に乗せて走り去るシーンが出てきます。
それから、金のなくなった3人の若者が、ボンベイの高級ホテルの一室で、インドの有閑マダムを相手にストリップショーをやって金を稼ぐシーンも出てきます。
サリーを着た太ったオバサンたちが争って、踊っている男の子のブリーフに紙幣を挟む姿は、笑わせます。
映画を見終わった感想は、世界中どこでも大都会のゲイシーンは似てるなぁ、というもので、ゲイバーがないことを除けば、ボンベイでも、やっていることは、ほかの世界の大都会と大して変わらないという印象を受けました。
この映画のDVDをわざわざ買って観たいと思う人はいないと思いますが、念のために入手先を紹介しておきますと、アメリカに本拠を置くインド映画のDVDのネット通販会社、India Plaza (www.indiaplaza)で購入することができます。
BOMBAY BOYS
https://www.youtube.com/watch?v=hhgcQtgRU4g
by jack4africa
| 2007-09-04 07:13
| 世界の映画&音楽