2008年 08月 26日
コーカサス |

薔薇族の文通欄には、日本人ホモとの文通を望む外国在住の外国人ホモからの手紙も掲載されていました。
英語で書かれていたのを編集部が日本語に翻訳して載せていたようですが、手紙の送り主に「コーカサス人」と書かれてあるのが多かったのが印象に残っています。
コーカサス人と聞くと、南ロシアの草原地帯を馬に乗って走りまわるコザック騎兵かなんかを連想してしまうのですが、なぜそんな辺境から、次々と手紙が舞い込むのか、不思議に思ったものです。
そのうち、薔薇族編集部が誤訳していることに気がつきました。
英語のCaucasianにはコーカサス人という意味のほかに白人の意味があり、後者の方が一般的に使用されているのですが、薔薇族編集部は、手紙の書き手が自分は白人(Caucasian)だと自己紹介している部分をすべてコーカサス人と訳していたのです!
このCaucasian=コーカサス人という誤訳は、延々と長い間、修正されないまま、繰り返し何度も何度も掲載され、薔薇族の編集部はこんな簡単な英語の単語も理解できないほど英語オンチばかり揃っているのだろうかと不思議でしょうがなかったのですが、実際、そのとおりだったみたいです(^^:
コーカサスというのは、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス山脈とそれを取り囲む低地からなる地方のことで、全体的に山がちな地形で、
私が想像したコザック騎兵が走りまわるステップ地帯は、コーカサス地方ではなく、その北の南ロシアからウクライナに広がっているそうで、その点では、私の知識もいい加減で、薔薇族編集部の無知を嗤うことはできません。
このコーカサス地方は、コーカサス山脈を境界にして北コーカサスと南コーカサスにわかれ、北コーカサスはロシア領、南コーカサスにはロシアから独立したアゼルバイジャン共和国、アルメニア共和国、そして現在、ロシアと紛争を起こしているグルジアの3国があります。
コーカサス地方には種々雑多な民族が混在していることから、ソ連崩壊後は民族紛争が多発しています。
現在、グルジアの南オセチア自治州の帰属を巡って起こっているロシアとグルジアの紛争をはじめとして、ロシアからの独立を要求しているロシア連邦のチェチェン共和国とロシア中央政府の長期にわたる紛争や、
アゼルバイジャン共和国のナゴルノ・カラバフ自治州の帰属を巡るアゼルバイジャンとアルメニアの戦争など多くの紛争が起こっています。
このコーカサス地方は日本人には馴染みの薄い地域ですが、意外なところで日本と結びついています。
実は、大相撲の外国人力士にコーカサス出身者が多いのです。
まずグルジア出身力士として、黒海、栃の心、臥牙丸(ががまる)の3力士がいます。
そして現在、紛争の中心になっているグルジアの南オセチア自治州に隣接するロシア連邦の北オセチア共和国出身の力士に露鵬、白露山の兄弟に阿覧(あらん)と阿覧のイトコで、先日、マリファナ所持容疑で逮捕された若ノ鵬がいます。
先日、グルジア出身力士の黒海や臥牙丸がロシア軍の南オセチア侵攻に抗議するためにロシア大使館に行く様子をテレビのニュースでみましたが、露鵬など北オセチア出身の力士の心境は複雑だったでしょうね。
このコーカサス地方は白人の起源の地とされていて、そのため白色人種のことをコーカソイド、白人のことをコーケイジアン (Caucasian) と呼ぶのですが、上記の力士たちを見る限り、毛深い系のクマさんタイプが多く、そういうのが好きな人にはたまんないでしょうね。
コーカサス地方は、かってアラブ世界で軍人として重用された白人奴隷のマムルークの主要供給地として知られていて、エジプトで起こったマムルーク朝の支配者もコーカサス出身のチェルケス人が多かったそうです。
コーカサス地方は、19世紀にロシアの勢力範囲に入るまでは、オスマントルコの支配下にあり、そのためイスラム教徒が多く、それが現在の紛争の要因の一つになっています。
19世紀に北コーカサスが帝政ロシアの支配下に入ったとき、それを嫌った北コーカサス在住のイスラム教徒のチェルケス人の多くが難民としてトルコに逃れ、その一部は当時、オスマン帝国の領土であったアラブ諸国に移住します。
マムルークの伝統のせいか、アラブ諸国に移住したチェルケス人の多くは軍人になるのですが、ヨルダンに移住したチェルケス人は、ヨルダンが独立するとヨルダン国王直属の近衛兵になります。
1970年にヨルダンに本拠を置くパレスチナ人ゲリラとヨルダン政府軍の間で起こった「黒い九月事件」と呼ばれる内戦で、ヨルダンのフセイン国王を助けて、パレスチナ人ゲリラを殲滅したのは、このチェルケス人主体の国王近衛軍団でした。
コーカサス地方を舞台にした映画には、文豪トルストイの同名短編小説を現在のチェチェンに置き換えて描いたロシア映画「コーカサスの虜」(1996) があります。
モスクワに住む一人の青年が徴兵されてチェチェン戦争に派兵され、チェチェン人ゲリラの捕虜になるという話ですが、映画に描かれているコーカサスの山岳地帯の貧しい山村に住む質実剛健で誇り高いチェチェン人の暮らしぶりが印象的でした。
ちなみにこの映画、主人公の青年を含む何十人もの若者が素っ裸になって徴兵検査を受けるシーンがあります。
by jack4africa
| 2008-08-26 00:23
| 国際関係

